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No.3 肩こりと自律神経の関係

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自律神経とは、自動的に身体の機能をコントロールする役割を果たす神経を言います。例えば、呼吸したり、血液を身体に送ったり、体温を調整するために汗をかいたりする神経です。

 

 

自律神経は、交感神経と副交感神経の2つがあり、交感神経は、活発に活動している時や、緊張している時に働き、副交感神経はリラックスしている時に働く神経です。

 


生活の中で、この神経がバランスをとりながら、人は身体を上手に保っています。

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(わかりやすい病気の話シリーズ19 自律神経失調症 一般社団法人日本臨床内科医会より引用)

 


ただし、この自律神経が乱れてくると肩こりにつながってくることがあります。

 


少し難しい内容になるかも知れませんが、私なりの考え方も交えながら説明していきたいと思います。

 


痛みと自律神経の関係について

まず急性的な痛みには、生理的な反応として、交感神経の活動が優位になるとされています。

 


しかし、慢性痛の動物モデルにおいては、心拍変動や血圧の反射は減弱を認めるとの報告があります。

 


慢性的に痛みがある人は、交感神経が優位になるような、いわゆる炎症による痛みと、考え方とは違ってきます。

 

 

肩こりと自律神経に関わる報告を見てみましょう。


肩こり有訴者と健常者に20分間のVDT作業を行わた結果、頭部の前方変位は肩こりの有無にかかわらず認められたが、肩こり有訴者でのみ上位頚椎の過伸展と肩こり感が増悪し、その変化は作業終了後もしばらく持続した。(城ら,2016)

 

VDT作業中に心拍数やLF/HF比の増大を示したのに対し、肩こり有訴者では明らかな変化を認めなかった。

 


肩こりが慢性的にある人は、筋や関節の問題だけでなく、自律神経の活動がうまくいっていない可能性が考えられます。

 


この研究では、運動時も自律神経の応答が低下し、運動により即時的に痛覚感受性を低下させるexercise-induced hypoalgesia(EIH)も生じないとされています。

 


さらに睡眠時も、健常者と比較すると、肩こり有訴者では副交感神経活動の減弱と交感神経活動の充進を示したとされています。

 


肩こりのある人は、運動により痛みが即時的に緩和することもしにくく、寝ているときもゆっくり体を休めれていない可能性があります。

 


このように自律神経の乱れによって生じている問題によって肩こりにつながっている場合は、肩こりに対してだけでなく、自律神経の乱れを起こしている原因に対して改善していくことを考えていかないといけないのではないでしょうか。

 


自律神経を働くべく時に働き、休む時には休むような習慣をつけていき、自律神経を整えていくことになってくると思います。

 


広い視野で考えると育ってきた環境などにもよって、ストレスを感じやすい性格や、ストレスを溜めやすい性格、ストレスへの耐久性が低い人もいるかもしれません。

 

 

単に自律神経を整える習慣にはコレ!とは言いにくく、同じことをしても、人それぞれ好きな事、嫌いな事があるように感じとり方も様々です。

 


私は、この様々あることが、大切と思っていまして、自分が幸せになる好きな習慣を選ぶことが大切なことだと思っています。

 


例えば、温泉が好きな人は温泉に入ると、副交感神経が、ぐんぐん働くでしょうし、運動でも野球が好きな人は、野球をすることがストレスを爆発的に発散できるかもしれません。

 


「自律神経調整方法」など、一般的な方法はネットで検索すると、多数紹介されていますのが、それらは参考にするとともに、方法論に捉われない視点を持ちながら見ていく必要があると思っています。

 


自分自身が幸せになることを前提に実践していくことが、一般的にはストレスと言われることも、その人にとっては、全然ストレスとして感じていないものもあると思います。

 


そもそも、人間の感情的な部分は、脳みその中でも古い脳に属する所からできているため、考える前に、危険だとか嫌だとか好きだとかを判断しています。

 


そこから、〇〇だからこれは嫌!とか〇〇だからこれは好き!とかを考えていまして、考える前に感じろという言葉があるように、学術的ではありませんが、やはり自分自身が幸せと思うことに触れる回数を増やすことが、自律神経を整えていくために必要なことではないでしょうか。

 


一度、理由などを考えず、シンプルに好きなことはなんだろう?嫌いなことはなんだろう?と考えてみると答えは出てくるかも知れません。

 

 

◆参考文献

MB Orthop,29(9):1-7,2016