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No.15 身体が柔らかければいいのか?本当に必要な柔らかさとは

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身体が柔らかいと怪我をしにくいということは、一度は聞いたことがあることだと思います。

 

 

本当に関節が柔らかいだけで良いのでしょうか?

 

 

今回は、本当に必要な柔らかさとは、どういったものなのかを考えていきたいと思います。

 

 

まず、柔軟性がある・ないというものは、医療現場などでは可動域(動きの幅)を測定して硬いか、柔らかいかを判断しています。

 

 

例えば、膝の関節では大腿骨と脛骨を指標に角度を測定して判断しています。

 

 

このように、それぞれの関節にはチェックするための指標があり、それを元に関節が硬いか柔らかいかを判断しています。

 

 

しかし、各関節の可動域の広い・狭いはみれますが、実際の動きでは、複合した要素が求められるため、それが動作場面で動かせるかは分かりません。

 

 

柔軟性を考える上で必要な視点として、他動的(人に動かされて動く範囲)な可動域とともに、自分で動かせる可動範囲を把握していくことが大切になってきます。

 

 

コレをトレーニングに置き換えると、例えば、スタティックストレッチ(持続的に伸ばす)ばかり行っていても、他動的な可動範囲は広がりますが、自分で動かせる範囲が増えるか否かは分かりません。

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むしろ、自分で動かせていなかったために硬くなっていた可能性もあります。

 

 

なので、本当に必要な可動域とは、自分で動かせる可動範囲だということです。

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しかし、その為には、そもそも他動的な可動域がないと、自分で動かせる可動範囲もありませんので、他動的な可動域がありきにはなります。

 

 

この自分で動かせる可動範囲を考える上で、知っておきたい視点としては、姿勢によって求められる要素が変わるということです。

 

 

例えば、上向きに寝転んだ状態で手を挙げることと、四つ這いで手を挙げる動きでは、同じ手を挙げる動きでも意味合いが違います。

 

 

寝転んだ状態では、簡単に手は挙がりますが、四つ這いでは挙げる幅が狭くなる場合があります。

 

 

これは四つ這いでは、重力に抗して手を挙げる運動を行っており、腹筋や肩甲骨の筋肉が働く必要があり、それらが弱くなっていると手が挙がりにくくなってしまいます。

 

 

このように、姿勢が変われば求められる身体の要素が変わり、同じ手を挙げる動きでも腕だけの問題ではなくなってきます。

 

 

さらに、立った姿勢で手を挙げる場合はどうでしょうか?

 

 

身体の全ての部分から影響を受ける姿勢ですよね!足、骨盤、背骨、頭の位置など。これら全て動きに影響を及ぼします。

 

 

よって、本当に必要な柔らかさとは、単なる可動域が広いだけでなく、それぞれの求められる姿勢において自分で動かせる可動域があることが大切となってきます。

 

 

それができなければ、実際の動きの場面では動かせる範囲が狭くなり、硬い動きになってしまいます。

 

 

まとめとしては、身体が柔らかいとは、各関節の可動範囲が広いことを指します。

 

 

ただし、単に他動的な可動範囲が広いだけではなく、自分で動かせる可動範囲が広いことで、動きの幅や自由度が広がります。

 

 

また、自分で動かせる可動範囲は、姿勢が変わることで求められる要素が変わりますので、必要な場面で動く可動範囲を高めていく必要があります。

 

 

皆さんは、身体を柔らかくしたい目的は何ですか?

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それは、楽に動けるようになることや、動きの幅を広げたり、自由度を高めることではないでしょうか?

 

 

もし、身体の柔らかさだけを競うスポーツがあれば、単に伸ばすだけを行えば良いですが、動きを変える為には、それだけでは足りません。

 

 

そのような視点で、一度ご自分の身体の柔らかさを考えてみて下さい。

 

 

きっとレーニングや運動の視点が変わると思います。