No.2 肩こりに影響する要因とマッサージの効果について
肩こりには、どのようなものが影響をして、マッサージの効果はどれくらいあるのでしょうか。
一部ですが、報告から見ていきましょう。
作業環境が肩こりに及ぼす影響について、女性看護師174名対しアンケート調査を行った結果、仕事の身体的負担が関連し、他の報告でも仕事のストレスが関連していると報告があるが、本研究も同一の結果であった。
第1主成分(仕事での身体的負担と心理的負担)には該当しなかったが「肩こり罹病期間」や「日常生活でのVDT機器やスマートフォンの1日平均使用時間」も第1主成分との関連は高い結果であり、VDTの使用時間が肩こりに影響する可能性も示唆された(半谷ら,2019)
仕事内容や、仕事でのストレスも肩こりへの影響が考えられ、姿勢などの身体的特徴以外にも、仕事を取り巻く環境が関与する可能性がありそうです。
また、スマートフォンの使用は第1主成分と関連が高いとされており、長時間の使用は、肩こりに影響をすることが考えられます。
スマートフォンの1日あたり平均の利用時間は、全体で「2時間以上3時間未満」が24.1%で最多で、次いで「3時間以上4時間未満」が18.5%とされています。(MMD研究所×スマートアンサー)
よって4割以上の人が1日2時間以上使用していることになります。
報告からもあるように、スマートフォンの使用時間は、日常的に気をつけていく必要がありそうですね。
特に最近では、スマホ首(いわゆるストレートネック)という言葉が使われるようになってきました。
元々ヒトは、四つ足移動から二足歩行へと進化しましたが、二足歩行になることで、手に体重をかけて活動する機会が減り、肩まわりだけでなく、首・腰の筋までが弱くなってきたと言われています。
さらに大人では、首から肩にかけての筋によって、約5kgの頭と、約8kgの両腕を支えなくてはいけない構造となっています。
人間の進化?退化?、文明の変化によって、人間の新たな習慣を作り、新たな病気を作ってるとも言えるでしょう。
次にマッサージの効果についてですが、最近では、安価で受けられるマッサージ店などを街中で見かけることが増えてきました。それでは、マッサージの効果について考えていきたいと思います。
マッサージ時間とマッサージ効果の持続時間の研究より、自覚的な肩こり度はマッサージを20分施行、80分施行、非実施群の3群を比較して、マッサージ施行両群とも7日後まで非実施群と有意差を認めた。(肥田ら,2019)
筋硬度(筋の硬さ)は、80分群が20分群と有意差を認めた時期はマッサージ2日後までであった。
また自覚的肩こり度の変化率と筋硬度の変化率には有意な相関がある。
マッサージを行う方が、ご自身で自覚している肩こり度には効果があるようですが、その持続期間はやはり短期間だとされています。
またこの研究では、筋の硬さは自覚的な肩こりと関与するとされていますが、筋の硬さは、長くマッサージを行っても2日までしか差がないとされており、長い時間マッサージを受けても、2日経てば肩こり感は、生じてくる可能性が考えられます。
やはり肩こりにつながる原因が変わってないからでしょうか?もしくは、マッサージの技術の問題でしょうか?
この研究では、民間業で3年以上短時間労働者として働き、利用者から指名されるほどの技術者を対象にしています。
技術は、完全に統一することはできませんが、ある一定のレベルがある施術がされています。
やはり短期間で肩こりは戻ってきてしまう影響は、肩こりの原因が変わってないことが要因なのではないでしょうか?
まとめとしては、仕事内容や仕事で強くストレスを感じている場合は、肩こりにつながる可能性があり、スマートフォンの長時間の使用は、さらに助長してしまう影響があるかもしれません。
肩こりに対するマッサージの効果ですが、一定の効果はあるようですが、短期的に戻ってしまう可能性が高いことが考えられます。
◆参考文献
日本作業療法学会抄録集 53: 280-280, 2019
日本運動器疼痛学会誌 2019;11:122–128