No.10 腰痛に効果的な呼吸運動
私たち人間は、生命維持をするために呼吸は必要不可欠なものです。しかし、当たり前に行っている呼吸が、実はうまくできていない人が多いのです。
呼吸がうまくできていない人は、身体のさまざまな問題を抱えてしまいます。
ここでは、呼吸の仕組みよりも、呼吸がどのように身体に影響をもたらすのかについて説明します。
まず、私たちは、呼吸をする手段として、口または鼻から息を吸ったり、吐くことをしています。
基本的には、鼻から吸って鼻から吐く、もしくは鼻から吸って口から吐くことが良いとされています。
それは、鼻から空気を吸うことで加湿した空気を肺の中に入れることができ、ウイルスなどの不純物を取り除くことができると言われています。
また、呼吸の仕方としては、一般的に腹式呼吸と胸式呼吸があり、これは言葉の通り、腹式呼吸はお腹をメインに使う呼吸で、胸式呼吸は胸を膨らましながら行う呼吸方法です。
呼吸を理解する上で大切になるのが、息を吸うとそのまま肺が膨らむ訳ではなく、横隔膜が下に下がることで肺が膨らむ構造となっています。逆に息を吐くときは、横隔膜は元の位置まで戻っていき、肺がしぼむような形となります。
出典:(http://www.take-off.asia/fukushiki2.html)
すなわち正しい呼吸をするためには、横隔膜を上下できる状態を作らないといけません。
次に、横隔膜をしっかりと働かせるために必要なことについて説明していきます。
まず横隔膜とは、膜という名前がついていますが、これは筋肉です。
なので、我々が呼吸するためには、常に筋肉を使っています。そのため呼吸も運動として捉える視点が必要です。
人間は、1日に約2万回の呼吸を行うとされており、私たちは約2万回、呼吸という運動を行っていることになります。
また、この時に働く横隔膜の働きは、呼吸のためだけではなく、姿勢を支えるためにも重要な役割も担っています。
人間のお腹には腹腔があり、そこにかかっている圧のことを腹腔内圧と呼びます。一般的には腹圧と呼んだりしますが、これを高めることが体幹の安定性を高めることにつながると言われています。
出典:(https://www.karadakagaku.com/2018/03/08/腹圧-横隔膜と骨盤底筋肉の関係性/)
腹圧を高めるためには、腹部の天井にある横隔膜が下に下がる必要があり、下側では、骨盤の底にある骨盤底筋群が働く必要があります。
すなわち、上から下に押さえる力と下側からも上に押し上げる力がかかることで、腹圧を効果的に高めることにつながります。
次に姿勢と横隔膜の関係性について説明します。
横隔膜が正しく働くためには条件があり、それは、肋骨が下がって閉じていることです。
例えば、反り腰姿勢の場合、肋骨が開いて、上に持ち上がります。そうすると、横隔膜も上がった状態となるため、下げることができにくくなります。
この状態では呼吸をするたびに腰を反り返る負担をかけてしまいます。
そのために、肋骨と骨盤をつなぐ腹筋を働かせて、肋骨を下げて、締める必要があります。
その上で、横隔膜がしっかりと下に下がってくることで、お腹の圧は適切に高まってきます。
さらに、私たち人間のお腹は、円すい上になっているため、腹圧を適切に高めるためには、360°全ての方向にお腹を膨らませられる必要があります。
先程の反り腰姿勢では、肋骨が開いてしまっているため、お腹の前側は膨らみやすいですが、後ろ側は膨らみにくい状態となります。
この状態を腹式呼吸と思って行っていたら、逆に腰痛を助長してしまう可能性があります。
まとめとしては、反り腰姿勢の場合は、肋骨が開いていることで、横隔膜の働きがしずらい状態となり、効果的に腹圧を高めることができません。
またその状態で、腹式呼吸をしてもあまり効果はなく、腹圧を高めるためには、肋骨を下げて締めるための腹筋を働かせて、横隔膜の位置を正しく戻した上で呼吸運動を行うことが重要となります。