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No.6 肩峰下インピンジメント症候群の原因と要因

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肩峰下インピンジメント症候群とは、手を挙げたり、動かしたりした時に、肩にある組織が、衝突したり、挟まることで痛みが引き起こされる病態のことを言います。

 


その名前の通り、肩の肩峰という骨のところで衝突する(impingement)負担がかかり、痛みを引き起こすものとなります。

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(出典:http://dev.89team.jp/okada/kega/impingement.html)

主に肩関節は、上腕骨と肩甲骨で成り立っており、上腕骨には、大結節という突起がありますが、手を挙げていく時に、そこが肩峰の下(烏口肩峰アーチ)を通る際に、腱板(インナー)や滑液包(関節の動きを滑らかにする袋)に衝突して炎症が起こってしまいます。

 

 

ここに繰り返し負担をかけて、悪化すると、肩の筋力低下や、安静時、夜間時に痛みが生じてくることがあります。

 

 

肩峰の骨の形として、人それぞれ個人差があり、肩峰が下に突出している場合や、加齢によって、肩峰の下に骨棘ができている場合など、肩峰実質が構造的に悪くなっていることもあります。

 

 

また進行して、腱板の筋肉が傷み、腱板の筋肉の働きが弱くなると、さらに悪化させる恐れがあります。

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(出典:https://www.orthop-kagoshima-u.com/consultation/expertgroups/shoulder/)

腱板の筋肉が働きにくくなると、元々、腱板の筋肉は、上腕骨を肩甲骨の受け皿に引きつける重要な役割がありますが、それができなくなってしまいます。

 

 

この腱板が切れた状態を腱板断裂と言い、腱板断裂は、外傷よりも加齢にともなう、退行性腱板断裂の方が圧倒的に多く、60歳以上の人口では10数%に及ぶと言われています。

 

 

このように、肩関節のインピンジメントは、なるべく避けたい問題となりますが、その要因について考えていきましょう。

 

 

まず、腱板の筋肉や滑液包の位置を見ていきましょう。

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(出典:https://toutsu.jp/pain/kata.html)

インピンジメントでは、この腱板や滑液包に接触する負担が大きくなると言うことは、単純に考えると骨と骨が近づくと負担がかかるということになります。

 

 

例えば、肩甲骨を引きつける筋肉が働きにくくなり、肩甲骨が前傾(前に傾く)することで、肩峰が骨頭側に近づきます。すなわち天井が下に下がってきたような状態で手を挙げると負担がかかりやすくなります。

 

 

また、インナーの筋肉の働きが弱くなると、アウターの筋肉が過剰に収縮して、骨頭を上に持ち上げてしまいます。そうすると、天井側に近づいてしまいます。

 

 

このような形で、肩甲骨の位置が悪くなったり、インナーの筋肉が働きにくくなると生じてきてしまいます。

 

 

次は、柔軟性の観点から考えてみましょう。

 

上腕骨がズレる関係性として、硬い部分が伸ばされる方向に手を動かすと、硬い方と逆の方向に骨が移動してしまいます。

 

 

例えば、手を挙げるときに肩の下の組織が硬いと骨頭は上に移動します。

 

 

また、肩が悪い人で硬さがみられやすい部分として、肩の後ろの下側があります。

 


先ほどの関係性から考えると、この組織が伸ばされるところに手を動かすと、前かつ上に上腕骨が移動してしまいます。

 


このようにして、肩まわりの硬さがあるだけでも上腕骨が移動して、インピンジメントが起こりやすくなります。

 


肩のインピンジメントを防ぐためには、肩まわりの柔軟性や、肩甲骨を引きつける筋肉、骨頭を引きつけるインナーの筋肉の働きは、肩関節にとって重要な役割を担います。

 


肩まわりのトレーニングをするポイントにしてみてはいかがでしょうか。